吸着等温線でコストパフォーマンスを試算する
今回のブログでは
CODの吸着等温線で活性炭のコストパフォーマンス試算を
当社の検討事例で紹介します。
ところで
吸着等温線って御存知でしょうか?
吸着物質の平衡濃度の対数を横軸に
縦軸に活性炭1g当りの平衡吸着量の対数で
プロットしたグラフを等温吸着線と言います。
実際に弊社で排水処理用活性炭の性能評価に用いた等温吸着線を
下のグラフに示します。
原水で約60ppmのCODが含まれていて、
活性炭により排水中CODを20ppmレベル以下に落とす為に
現行で使用している活性炭より
コストパフォーマンスが優れているものを
探されていました。
お客様と打合せ後、
検水と現行活性炭をお預かりして
等温吸着線を作成し
弊社活性炭との比較を行いました。
グラフより目標濃度である20ppmの
活性炭1g当りの平衡吸着量は
お客様が使用されていた活性炭で約49mg/g、
弊社より提案させていだきました活性炭で約84mg/gでした
このデータを基に理論上では
1日に100klの排水処理が必要なプラントでは
1日に約3.8kg、1年では約1390kgのCODを
吸着するための活性炭が必要になります
それぞれの活性炭の平衡吸着量から
年間の理論活性炭使用量は
お客様現行品で約28,300kg
弊社から提案させていただきました活性炭で16,500Kg
の試算となりました
購入単価を共に500円/kgと仮定すれば
(実際の弊社販売価格ではありません)
現行品年間購入額は約1400万円
弊社提案品では約825万円になります
極端な例になりますが、
仮に弊社品が850円/kgであっても
年間購入額は約1400万円です
しかし、そのケースでも
ライフサイクル期間の向上により交換頻度が減少して
交換作業工程数の減少やプラント稼働時間増加になり、
結果的に仕事効率(コストパフォーマンス)の
大幅upにつながります
このように活性炭の選定は
単純なキロ単価や
よう素吸着性能やメチレンブルー吸着性能のような
JIS分析だけなく、
実サンプルによる等温吸着線評価のような
Dynamic Analysisも重要になります。
排水の残留COD濃度(目標濃度Xの場合とYの場合)によって、
COD平衡吸着性能の優位性が逆転しています。
排水初期濃度のStatic Analysis により
COD除去率のみで活性炭を評価すれば、
最もコストパフォーマンスの高い
活性炭を選択できていない可能性があります。
キロ単価は一元的な活性炭のコストパフォーマンスに過ぎず、
実際のサンプル中の除去物質に対しての
活性炭のコストパフォーマンスとは
異なるケースがあります
これはサンプルマトリックスの競合吸着や除去物質濃度の影響により、
実際の活性炭有効量(平衡吸着量)が動的変化するためです。
吸着傾向はサンプルと活性炭のすべての組合せに対して同様ではなく、
溶液の性質、吸着物質や共存物質の種類や濃度によっても
大きく変化しますので、各ユーザー様が実際のサンプルで
使用する活性炭の評価・試算する必要かあります。
顧客のニーズに適切にフォーカスされたデータ分析・解析に基づく
社内外への説明・交渉能力が研究・開発や製造部門担当者だけなく、
特に営業や購買部門担当者にとっては腕の見せ所になるでしょう
COD除去の技術サポートの際に
よう素吸着性能等の関係の薄いデータを
たくさん並べてしまっては
価値の高いデータを見過ごしていまいがちです
弊社ではピンポイントで深堀りされた
より有効なデータ提供を目指します。
水処理・活性炭の
サンフロンティアケミカル株式会社
技術部
TEL : 0867-35-1811