サンプルマトリックスの影響とは?
以前のブログで
実サンプルを用いた吸着等温線による活性炭性能評価の
重要性について紹介させていただきました。
今回は
サンプルマトリックスの影響についてお話したいと思います。
活性炭が液相中で物質を吸着する時の主な要因には以下のようなものがあります、
活性炭:表面積、細孔径分布、極性、荷電など
溶質:分子の形状、分子の大きさ、分子の極性、官能基、濃度、溶媒への溶解度、等電点、配向、分子間競合、共吸着など
溶媒:分子の形状、分子の極性、pH、温度、粘度など
活性炭そのものの物性よりも溶質や溶媒の物性の方が考慮すべき要因が多いくらいです
多成分系においてこのように非常に多くの要因やその組み合わせによる影響を
単純系で考察する事は現実的ではありません
簡易的には代用物質による見かけ吸着量を吸着の前後の濃度差から算出して
この見かけ吸着量と平衡濃度の関係から吸着等温線を作り、
実サンプルの活性炭性能評価としているケースが多いようです
JIS法ではよう素吸着性能やメチレンブルー吸着性能等が活性炭性能評価の簡易的な代替法として用いられていますが、吸着物質が代替物であること、サンプルマトリックスが単純系であることから実サンプルに適用した際にかけ離れたパフォーマンスになる可能性があります
これを
実際にカラメル吸着性能で単純水溶液中と20%グラニュー糖溶液中の比較による考察をしてみました
比較的単純なマトリックスであるグラニュー糖添加でさえ
活性炭の明確にカラメル吸着性能が低下している事が見られます
これはグラニュー糖添加で溶液粘度が増加して活性炭細孔内へのカラメルの拡散速度低下やカラメルとグラニュー糖の競合吸着でカラメル吸着能が低下した事が考えられます
それゆえに
活性炭選定時の性能評価の際には
単純系と実サンプルでは吸着プロファイルが異なる可能性を
頭に入れておく必要があります
このことを踏まえて次回のブログでは
実サンプル脱色の際の活性炭選定のポイントを紹介したいと思います。
水処理・活性炭の
サンフロンティアケミカル株式会社
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